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お金

お金

現代の日本においてお金(おかね)は、次の事象を指しうる。

金(かね)の基本的な意味としては、金属(金、銀、銅など)の総称や金属製品の総称であるが、お金(おかね)で貨幣としての黄金も指すようになった。なお、近世の上方では、貨幣として銀を用いたので、「おかね」には「金」ではなく「銀」の字をあてた(「お銀」、江戸時代の三貨制度#流通状況)。

銀行

銀行

銀行(ぎんこう、)とは、概ね、預金の受入れと資金の貸出し(融資)を併せて行う業者として、各国において「銀行」として規制に服する金融機関を指すが、その範囲は国によって大きく異なる。

為替取引を行うことができ、銀行券の発行を行うこともある。広義には、中央銀行、特殊銀行などの政策金融機関、預貯金取扱金融機関などの総称である。
日本の法令上、銀行とは、銀行法上の銀行(普通銀行)を意味し、外国銀行支店を含むときと含まないときがある。また、長期信用銀行は長期信用銀行法以外の法律の適用においては銀行とみなされる。日本銀行や特殊銀行、協同組織金融機関および株式会社商工組合中央金庫は含まない。普通銀行も長期信用銀行も、会社法に基づいて設立される株式会社形態である。
他方、米国においては、「銀行」(bank)には、国法銀行(national bank)と州法銀行(state bank)があり、それぞれ連邦および各州の銀行法に基づき設立される営利目的の法人(body corporate)である。連邦準備銀行、貯蓄貸付組合(saving and loan association)や信用組合(credit union)、産業融資会社(industrial loan company)などとは区別されるが、広義にはこれらを含む。
「金融仲介」「信用創造」「決済機能」の3つを総称して銀行の3大機能という。これらの機能は銀行の主要業務である「預金」「融資」「為替」および銀行の信用によって実現されている。3大機能において、「金融仲介」と「信用創造」は各銀行が常に単独で行える業務である。ただし「決済機能」は、複数銀行間の決済が手形交換所というラウンドテーブルで機能しており、かつてその処理が煩雑を極めたことから現代とみに合理化し、国際決済は寡占産業となった。
銀行の業務目的は、第一義的には、市場経済の根幹である通貨の発行である。ここにいう通貨は、中央銀行の発行する銀行券などの現金通貨に限らない。貨幣機能説によれば、通貨は通貨としての機能を果たすがゆえに通貨であり、交換手段であると同時に価値保蔵手段であり、価値尺度であるという機能をもつ。銀行の受け入れる預金は、まさにこうした通貨としての機能を果たすがゆえに経済社会において重要な預金通貨として流通している。
預金通貨は銀行の負債であるので、預金通貨の価値の安定のためには、銀行の資産が安定的な価値を有するものでなければならない。このため、金融庁をはじめとする銀行監督当局は、定期検査を通じて、銀行の資産は安全かという点をチェックする。また、銀行監督当局は風評被害が起きないよう監督している。
銀行業務を行うにあたっては、信用が重要な位置をしめる。そのため、経営が悪くなっても活動を続けることが出来る他の産業とは根本的に異なり、経営が悪くなれば信用がなくなり、取り付け騒ぎに発展して破綻したり、批判を受けながら政府の救済を受けたりする。それ自体は預金保険制度、健全性規制、ベイルイン(株主・債権者負担)といった諸制度により防がれる。
銀行業務の技術的側面は銀行のオンラインシステムで成り立っている現状がある。
アメリカ合衆国や中華人民共和国、日本では銀行と証券会社との兼業を認めない。このような政策を「銀証分離」という。アメリカでは1929年の世界恐慌をきっかけにグラス・スティーガル法が制定されてから銀行による証券業務が制限されている。同法制定の背景には、①銀行が証券業務も行っていたことが大恐慌の一因となった、②預金者の資金を運用している銀行による証券業務を制限することによって、預金者の保護を徹底する必要がある、③貸出業務と証券業務とは利益が相反する傾向がある、という見方があった。しかし第二次世界大戦後は銀行と証券会社が一体となったユニバーサル・バンクを主流とする欧州各国でブレトンウッズ協定に対する不満が鬱積していった。彼らはユーロカレンシーを利用した銀行間取引を活発化させ、機関投資家と共にユーロ債市場を拡充した。その結果、日米欧三極同時並行で銀証分離が緩められていった。
銀証分離は独占を禁止する目的もあるが、同様の観点から銀行業と商業の分離(銀商分離)を行う国もある。米国では投資銀行を除いて銀行業から商業への参入も商業から銀行業への参入もどちらも認められない(ノーウェイ規制)。欧米の企業統治は政策で機関投資家に委ねられている。日本では、商業から銀行業への参入は非金融事業会社による銀行子会社の保有という形で認められているが、銀行業から商業への参入(銀行やそのグループ企業による非金融事業)は持株会社としてのベンチャーキャピタルに限られる(ワンウェイ規制)。欧州では、自己資本に応じた投資制限の範囲内であれば、相互に参入が認められる(ツーウェイ規制)。ソシエテ・ジェネラルのような欧州銀行同盟の代表格やベルギー総合会社を例とする伝統である。
アメリカでは現在グラム・リーチ・ブライリー法によって役員兼任が許容されるなど、銀証分離は極度に緩和されている。この制度は、モーゲージによる信用創造をMBS販売で下支えするビジネスモデルを許したので、世界金融危機を招来した。
そこで2011年にグラス・スティーガル法の再導入法案が両院に提出された。翌年7月4日フィナンシャル・タイムズが分離を主張した。社説の背景は多様である。2012年5月10日に発表されたJPモルガンの20億ドルにのぼる損失、バークレイズのLIBOR金利操作、米上院調査会が2012年7月16日に報告したHSBC・ワコビア・シティバンク・リッグス銀行の資金洗浄、そしてロスチャイルドのリストラ方針が銀証分離と考えられていること。法案の採決はウォールストリートの投資家に阻まれている。
2018年3月29日、公正取引委員会は、ドイツ銀行とメリルリンチが米ドル建て国際機関債の売買について受注調整したと認定、その行為が不当な取引制限にあたると発表した。国際機関債はユーロ債が普通である。銀証分離緩和を主導し、また利用してきた、ユーロ市場の独占資本に綻びが見えてきた。公取委が復権するかどうかも注目される。
日本においては1948年、アメリカ対日協議会が発足して財閥解体の調整に乗り出し、また旧証券取引法が制定された。同法65条において銀行(預貯金取扱金融機関)が金融商品取引行為を業として行うことは、投資目的や信託契約に基づく場合などを除いて禁止されていた。禁止規定は公共債に適用されないが、公共債を対象として銀行の営みうる業務範囲は旧銀行法で明文規定がなかった。それで公社債をメガバンクが窓口となって外債として発行した。これがユーロダラーとの接点となる。外債だけでは公社債の資金需要をまかないきれないので、昭和30年代は投資信託に保有させる作戦がとられた。1955年、大蔵省は証券19社に対して次のような資金調達を認めた。顧客に売った金融債を引き渡さずに有償で借用し(運用預かり)、これを担保として銀行などから資金を借り入れる行為である。インターバンク短期金融市場からの借り入れは利子のかさむ原因となった。この行為は1998年7月現在禁止されている。強引な大衆貯蓄の動員は証券不況を引き起こした。日本共同証券の設立過程で、銀行は証券業界へ人材を進出させるなどして事実的に支配した。旧財閥系の銀行がオーバーローンで生保と事業法人を系列化した(法人資本主義)。
日銀が特融に奔走していたころ、ニューヨーク州は陥落間近であった。1960年代初め、ニューヨーク州議会は公社債発行の根拠となる精神規定を採択した。州の住宅金融機関などは公共インフラのために公社債を発行しまくった。州の負債は十年で三倍となり、総額150億ドル以上となった。州の長期負債の2/3以上が州の全信用によっては保証されない人道債(Moral Obligation Bond)であり、その残高は全米で発行された無保証債券残高の1/4を占めた。
株式の持ち合いが日本証券市場の拡大を妨げたので、グローバルな成長をとげた機関投資家が政治的圧力をかけてきた(日米円・ドル委員会)。1985年、住友銀行が買収したゴッタルト銀行(Gotthard-Bank)が、イトマン発行外債の主幹事をやるということで銀証分離は形骸化しだした。日英金融協議がそれに追い討ちをかけた。1990年12月には、銀行と信託、保険の相互参入を認める法案が可決された。そして1993年4月の金融制度改革関連法施行に伴い、銀行・信託・証券の相互参入が認められたことから実質的に銀証分離が撤廃された。さらに金融ビッグバンにより銀行等の投資信託の窓口販売の導入(1998年12月から解禁)が導入されるなどして、現在は登録金融機関ならば一定の証券業務を営めるようになっている。
英語のバンク(bank)という語はイタリア語の”banco”(机、ベンチ)に由来する。これはフィレンツェの銀行家たちによってルネサンスの時代に使われた言葉で、彼らは緑色の布で覆われた机の上で取引を行うのを常としていた。明治時代にバンク(bank)を銀行と訳したのは、中国語に依拠している。香港上海銀行(豐銀行、1865年設立)などが創業当初から中国語名に銀行を使用している。行は漢語で店を意味し、また金ではなく銀であるのは当時東アジアでは銀が共通の価値として通用していたためである(銀貨を参照)。日本では「金行」とする案もあり、一説によれば語呂が良いから銀行とされたという。
金融機能の起源としては両替商が古くからあり、フェニキア人による両替商が知られていた。古くはハムラビ法典には商人の貸借についての規定が詳細に記述されており、また哲学者タレスのオリーブ搾油機の逸話などで知られるように、古代から高度な金融取引・契約はいくつも存在していたと考えられるが、一方で貨幣の取り扱いや貸借には宗教上の禁忌が存在している社会があり、例えばユダヤ教の神殿では神殿貨幣が使用され、信者は礼拝のさいにローマ皇帝の刻印がされた貨幣を神殿貨幣に両替し献納しなければならなかった。ユダヤ・キリスト・イスラム教では原則として利息を取る貸付は禁止されていたので、融資や貸借は原則として無利子(売掛・買掛)であった。これらの社会においては交易上の利益は認められていたので実質上の利子は中間マージンに含まれていた。両替商が貨幣の両替において金額の数%で得る利益は手数料であった。
貸付・投資機能が高度に発達したのは中世イタリア、ヴェネツィア、ジェノヴァ、フィレンツェにおいてである。遠隔地交易が発達し、信用による売掛・買掛売買が発達し、有力商人が小口商人や船乗りの決済を代行することから荷為替あるいは小口融資が行われるようになった。中世イタリアのジェノバ共和国の議会は、国債の元利支払のための税収を、投資家の組成するシンジケート(Compera)に預けた。1164年には11人の投資家によって11年を期間としたシンジケートが設定されていた。このシンジケートを母体に設立されたサン・ジョルジョ銀行はヨーロッパ最古の銀行とされている。ヴェネツィア共和国の議会は1262年、既存の債務を一つの基金に整理し、債務支払いのために特定の物品税を担保に年5%の金利を支払う事を約束したが、これは出資証券の形態を取り登記簿の所有名義を書き換える事で出資証券の売買が可能なものであった。中世イタリアの都市国家ではそれぞれの都市の基金、すなわち本来の意味でのファンドが、債務支払の担保にあてられた税を管理した。
13世紀頃の北イタリアではキリスト教徒が消費者金融から一斉に撤退し始めるがその理由ははっきりしない。15世紀にはユダヤ教のユダヤ人金融が隆盛を極めた。しかし15世紀後半には次第に衰退した。ユダヤ人が貧民に高利貸付をして苦しめているとフランチェスコ会の修道士が説教したので、都市国家ペルージャは最初の公益質屋( monte di piet)を作り低利で貸付を始めた。それまで徴利禁止論を標榜していたキリスト教会は、第5ラテラン公会議で言い逃れをした。すなわちモンテの利子は正当であり、禁じられた徴利にあたらないとしたのである。
北イタリアからバルト海にかけ、商人の経済活動が高度化してゆくなかで次第に金融に特化する商人が登場しはじめる。商業銀行と商社は業態的につながりが深いといわれている。シティ・オブ・ロンドンにはマーチャント・バンクの伝統があり、これは交易商人たちが次第に金融に特化していったものである。日本の総合商社はマーチャントバンクに大変類似しているとも言われる。現在のような形態の銀行が誕生したのは、中世末期のイギリスにおいてである。
日本でも江戸時代には両替商があり、また大商人による大名貸しなど融資業や決済代行業務を請け負った。初の商業銀行は、明治維新後に誕生した第一国立銀行(第一勧業銀行を経て、現在のみずほ銀行)となっている。

キャッシュカード

キャッシュカード

キャッシュカード、またはATMカード(ATM card)、バンクカード(Bank card)は、金融機関が口座開設者に発行するカードで、ATMを操作する際の本人確認に供する。

幅広く普及した磁気ストライプカードと、安全性を高めたICカードがある。
電算化が行われる以前より、日本においては預金通帳を介した取引が行われ、預金払戻しの意思確認は届出印の捺印に拠っているが、勘定処理の電算化、オンライン化により、口座開設者が自ら現金自動支払機 (CD) を操作して預金の引出を行う装置が可能になり、その際に認証に用いる媒体として預金通帳と届出印に代えてキャッシュカードと暗証取引が登場した。最初期のキャッシュカードは、カードに鑽孔した、パンチカードに近いものであった。1960年代以降、磁気ストライプカード挿入と4桁の暗証番号の打鍵で認証を行う方式は、現在もっとも普及している。取引内容も当初の預金払戻しに加えて、預入、振込、定期預金の預入、宝くじ購入など範囲が広がってきた。
一方で、犯罪に用いられる技術も高度になり、第三者がスキミングで偽造カードを作出して、預金を不正に引き出す事例も増えている。これに対抗するために、カードに暗証番号を記録しない、偽造の困難なICカードへの移行、生体認証の導入が図られている。近時、キャッシュカードを取引証としても用い、預金通帳を省略した預金口座も、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、新生銀行、りそな銀行などで開設できる。一部を除く日本の銀行のキャッシュカードは、ジェイデビット (J-Debit) システムによるデビットカードとしての使用が可能であり、銀行口座の残高を以って、J-Debit加盟店での決済に利用できる。
通常、発行には申込から1週間から2週間程度(クレジットカード一体型は、クレジット部分の発行審査を含めて1ヶ月前後ないしはそれ以上)かかり、簡易書留ゆうメール等で送付される。金融機関によっては、普通預金のみのカードなど、一部のカードについては、申込のその場で受け取ることができるサービスを提供する場合もある。近年では、地方銀行や第二地銀などでも発行するケースが見られるようになってきたが、窓口に在庫のある白カードに磁気ストライプやICチップにデータを書き込んで、券面に口座番号等をプリントするエンボスレスカードが発行できるシステムを以前に比べて導入しやすくなったこと等が挙げられる。
なお、生体認証対応のICつきカードが即時発行できる場合は、その場で生体認証も同時に登録できるケースもある。このケースでは、金融機関によっては、即時発行するキャッシュカードへ生体認証を登録することにより、印鑑に代わって本人確認を行う形になっている。
一般的に幅85.60 mm、高さ53.98 mm、厚さ0.76 mmサイズのプラスチック製で、これはISO (ISO/IEC 7810) やJIS (JIS X 6301) によって規定されているカードサイズである。口座番号や氏名の文字がエンボス加工されて刻印されている。現在普及しているキャッシュカードは、プラスチックに磁気帯をつけた磁気ストライプカードと、更にICチップを搭載したICチップ内蔵カードがある。2010年代になると、発行する金融機関の銀行名や統一金融機関コードなどに由来する点字がエンボスされたキャッシュカードも登場するようになっている。
プラスチックの本体に刻印を施し、磁気ストライプをつけて、口座番号等の情報を磁気情報で記録したもの。ATMでは、記録された磁気情報のみを用いて手続きを行う。強い磁気に晒されると磁気情報が破損して使用できなくなることがある。この磁気情報は、他のカードリーダ等で読み書きする事が可能であり、真正なキャッシュカードの情報を取り出して他のカードに記録する事でATMから見て真正なカードと見分けのつかない偽造カードを作出し現金を引き出すという犯罪が行われた。この偽造カードに対抗するためにICキャッシュカードが開発された。
日本と、アメリカ合衆国を含めた諸外国とでは、キャッシュカードなど金融取引に使われる、カードの磁気エンコードの方式が異なる。
JIS X 6302では、裏面磁気ストライプカード(JIS I 型)用のエンコード方式と、おもて面磁気ストライプカード(JIS II 型)用のエンコード方式を規定している。JIS I 型用の方式はISO/IEC 7811と一致しており、クレジットカードや国際航空運送協会 (IATA) 加盟の航空会社の会員カードに採用されている。JIS II 型用の方式は、日本独自の規格であり、日本の銀行キャッシュカードに採用されている。
国内金融機関のATMで両方に対応するものは、従前は外国銀行またはゆうちょ銀行が設置するATMしか無かった。コンビニATMでは、セブン銀行ATMが両方の磁気エンコードに対応するクレジットカード及びICキャッシュカード対応し、他のATMでも徐々に対応するのが多くなってきた。
上記の磁気ストライプカードの本体に、更にICチップを搭載して機能と安全性を高めたもの。安全性を高めるため磁気ストライプを搭載せず、ICチップのみを搭載したカードも存在するが、利用上の制約も多いため、本格的な普及には至っていない。
カード毎に異なる鍵情報をICチップ内に内蔵し、この鍵を用いてATMと暗号通信を行う機能を持つ。カード内の暗号鍵そのものが、外部とやり取りされるわけではないので、同じ情報を持つ偽造カードを作出することは困難である。ただしリバースエンジニアリング等の手法により、メモリ内の暗号鍵が直接読み出された場合(現時点では、耐タンパー機能や計算量的に出来ないとされる)や、通信内容から暗号鍵を推測された場合には複製も可能となる。物理的・電気的に、ICチップが破壊されると使用できなくなる。
日本国内用のICキャッシュカードについては、一般社団法人全国銀行協会が策定した接触型ICチップの方式を原則として採用している。
上記のICチップ内蔵カードに、生体認証に用いる情報を追加記録したものである。ATMで用いられる生体認証として、掌の静脈パターンを読み取る方法と、指の静脈パターンを読み取る方法の2種類が採用されている。
ATMは、挿入されたカード本体と、与えられる認証情報とを用いて、目前の人物が当該口座開設者か否かを確認する。盗難カードの使用、偽造カードの作成と使用、暗証番号の入手や推測などの手段を用いて第三者がATMを欺いて不正に口座取引、なかんづく預金払戻しや他口座への振込みの操作を行う事が可能である。これを防ぐためにICカード化や生体認証の導入などの対策が図られる。
磁気カードや、生体認証を用いないICカードでは、第三者が真正カードと暗証番号を入手して不正操作を行う事が可能である。
カードの盗難について、金融機関側は暗証番号の漏洩が無ければ依然、安全であるとして、生年月日等、他の情報から容易に推測される番号を避けること、また、適宜暗証番号を変更するなどの対策を呼びかけた。また、2004年秋より、ATMで1日に取引できる限度額を順次下げて、被害が大きくなるのを防ぐとした。
殊に、磁気カードでは、同一形式のカードが銀行オンラインシステム以外にも用いられる様になるとともにカードリーダ等の機器の入手も容易となり、キャッシュカードの磁気帯の情報を読み取ったり偽造カードを作成する事も困難ではなくなってきた。認証に関わる磁気情報が全て露出しているのに加えて、その情報を別のカードに記録する事も容易であることから、スキミングによる偽造カードの作出と、それを使用した不正操作が社会問題となった。
カードの盗難では、被害に気づいたら、すぐに届け出て口座やカードを凍結できるが、スキミングではカードそのものは本人の手許にあるため、通帳への記帳や利用明細をチェックするまで被害に遭った事に気づかない。
他、生体認証カードでは1日の引き出し限度額が最大で20倍程度になる点を悪用し、特殊詐欺の手段として生体認証カードを作らせて現金を騙し取る例が、東京都内で多発している。
銀行ならびにコンビニに設置されているATMには監視カメラが設えられており、カードの不正使用に際しては容貌を記録に取られるリスクがある。しかし、小売店のレジ等には監視カメラが無い事が珍しくなく、記録を取られるリスクなく不正使用が可能となる。ただし、顔貌の特徴点をいかに高精度に記録できる防犯カメラが設置されていようとも、顔面の一部または全体や身体的特徴を違和感なく隠蔽する手段は複数考えられるため、一定の効果は期待できるが、いわゆるプロによる犯行を阻止、あるいは検挙の手がかりとするには充分とはいえないとする見方もできる。同時に、小売店のPOS端末等のセキュリティに関しては問題が指摘されている。
盗難カードや偽造カードを用いた不正引出しを防止するための対策がとられている。一方で、実際に発生した不正使用と、それに伴う被害の補償については、漸く対応がとられる様になってきた。
磁気カード対応のATMは、コンビニエンスストア設置のものも含めて既に多数が配置されており、ICカードへの切り替えや生体認証方式の導入には時間と費用がかかることから、下記の様な対策がとられている。
暗証番号の漏洩を防いだり、ATMの利用方法を制限するために、以下に挙げる対策が採られている。
金融機関によっては、不正支払をより抑止するために、キャッシュカードを発行せず、口座開設店において対面での手続きのみを行う預金口座を取扱開始したところもある。
磁気カードでは前述の様に同じ情報を持つカードを複製する事が容易であるが、ICカードは原理的に同じ情報を持つカードを複製することは不可能とされており、切り替えが行われている。
暗証番号による認証方式は、暗証番号の情報そのものが個人から独立しているものであり、口座開設者本人の不注意や、ソーシャルエンジニアリングによって漏洩し、第三者に渡る可能性がある。生体認証では本人の肉体の特徴に由来する情報を認証に用いる事で、第三者によるなり済ましを防止する効果が期待される。
日本における盗難カードや偽造カードの被害については、預金者保護法施行(2006年2月10日施行)の前後で対応が大きく変わる。
金融機関は、挿入された磁気カードに記録された情報と入力された暗証番号を正規のものと認めて行った払い戻しについて、結果に責任を負わないとするカード利用規定をたてに、本来の口座開設者の重ねての預金払い出しを拒む。
しかし偽造カードによる不正引き出しが増加し社会問題化していることから、預金者保護法が制定・施行された。
預金者保護法は、不正払い戻しに対する民法第478条の適用を除外し、預金を補償する規定である。同法の下では、盗難カードや偽造カードなどで預金が不正に払い出された場合であっても、金融機関が善意かつ無過失であって、かつ預金者本人に重大な過失があることを金融機関が証明した場合を除き、預金は全額補償される。なお、預金者本人の重過失とは、暗証番号を故意に他人に教えたり、カード表面に暗証番号を記入したりした場合を指す。
但し、同法が適用されるのは個人の口座に限り、また、盗難カードや偽造カードによる被害に限定される。法人の口座や、盗難通帳による被害は対象外である。
また、盗難カードや偽造カードをデビットカードとして使用した場合も、同法の範囲外である。
アメリカの銀行では「50ドル保護法」という銀行が実施する預金者保護があり、預金が不正に引き出されても、2日以内に銀行に連絡すれば、免責金額の50ドルを超えた分は全額補償される。イギリスでも同様に預金者を保護する「50ポンド保護法」が存在している。

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